鉄品質・表示基準
JHFC-S-029 制定:2026年9月7日
一般社団法人日本認定健康食品協会 制定基準(原文)
一般社団法人日本認定健康食品協会
制定:2026年9月7日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
鉄の品質説明では、元素としての総量に加え、鉄塩、ヘムを含む素材又は被覆原料という供給形態の区別が必要になる。総鉄の測定で表示量を確認できても、その結果だけでは原料の価数やヘム構造を証明できない。鉄を含む粒子の混合偏り、製造装置からの混入及び食品中の色調変化も資料の解釈に関わるため、化学形態と製品検査の役割を分けて規定する。
第1条(目的)
鉄源の由来、形態に関する表示及び元素量を、それぞれ適切な試験・記録で裏付けることを目的とする。JHFC-A-001に定める情報公開の五基準を基礎に、鉄の化学状態と製造由来混入の評価を追加する。
第2条(適用範囲)
鉄塩、食品由来のヘム含有原料及び被覆・分散した鉄原料を配合し、鉄量を表示する経口健康食品に適用する。粉末、錠剤、液状品等を含む。個々の原料が食品用途に該当することは、供給元資料と適用制度により確認する。
第3条(用語の定義)
- 1. 総鉄量:化学形態を分けず、検体に存在する鉄元素として測定した量。
- 2. 鉄の価数:二価、三価等、原料の化学的な状態を区別する情報。
- 3. ヘム含有原料:鉄を含むポルフィリン構造を持つ成分が確認された食品原料。
- 4. 被覆鉄原料:鉄源の粒子又は液滴を別の材料で覆った調製物。
- 5. 工程混入鉄:意図した配合原料以外から、設備摩耗等により製品へ入る鉄。
第4条(要求事項)
1. 品質要求―鉄源の識別
鉄塩は化学名、価数及び水和の情報を備え、形態を識別する分析資料で確認する。ヘム含有原料は動物種、部位、抽出方法及びヘム構造に関する証拠を揃える。総鉄量のみでヘム含量や価数を保証する記載は用いない。原料純度と共抽出物の規格は事業者が根拠を付して設定する。
2. 品質要求―混合と設備管理
密度の異なる鉄粒子について投入順序、移送時の分離及び充填中の濃度差を評価する。粉砕機や接液部の材質を点検し、摩耗片の混入と意図した鉄成分を区別して扱う。被覆原料は混合せん断による被膜損傷を調べる。採取区分別成績、設備点検票及び仕込量の照合をロット判定に用いる。
3. 検査―総鉄と形態確認の区別
総鉄の第三者検査では、被覆やヘムを含む試料の分解回収、試薬空試験及び機器干渉を確認する。価数又はヘムの表示がある場合は、対象構造を保持する別の分析資料を組み合わせる。検査機関、方法、対象段階及び製品ロットを成績書と公開情報に記載し、原資料への照会先を明らかにする。
4. 表示要求―鉄量の算定
一日摂取目安量に含まれる鉄を元素量で示し、ヘム含有素材や被覆原料の配合重量とは別欄で管理する。複数の鉄源を使用するときは、それぞれの添加寄与と製品の総鉄値を照合する。原材料にもともと含まれる鉄を重複加算しない。由来や価数の付記は対応する識別試験の範囲内で行う。
5. 品質要求―共存成分と保存
油脂、色素又は香味原料を含む処方では、鉄源との接触による臭気、色調及び析出の変化を経時的に観察する。外観の変化だけで鉄量の増減を判断せず、形態表示がある場合はその維持も確認する。保存中の判定規格を事業者が定め、包材の遮湿性や被覆状態の資料に基づいて保管方法を表示する。
6. 摂取上の注意
小児が誤って手に取らない保管場所を表示し、包装形態と開閉方法を注意原稿の点検に含める。鉄を含む別製品と併用する際の重複確認を案内する。治療中・投薬中の者は医師に相談する旨、及び誤摂取や体調異常時の相談案内を、[鉄の注意資料](https://ods.od.nih.gov/factsheets/Iron-HealthProfessional/)等と照合して定める。
7. 資料管理
総鉄成績と価数・ヘムの識別結果は別の資料番号で保存し、ラベル中のどの記載を支えるかを索引化する。設備由来の混入調査は原料受入検査と分離して記録する。事業者は保存期間を設定し、鉄源の変更履歴、被覆処方及び注意原稿を製品ロットから検索できる状態に置く。
第5条(評価区分)
- 適合:全要求を充足し、総鉄量と形態表示が独立した証拠で確認でき、工程混入も評価されている。
- 一部適合:鉄源、検査及び誤摂取の注意は整備され、補完事項が公開索引等の軽微な範囲に限定される。
- 不適合:総鉄をヘム量に読み替える、摩耗由来の鉄を調査せず出荷根拠に含める、又は元素表示を再現できない。
第6条(運用)
鉄源と表示する化学情報を列記して自己適合宣言を提出する。本協会は申請に基づき、総鉄測定と形態表示の証拠を別々に確認する。接液材質、被覆構成又はヘム抽出工程を変更した際に、宣言内容を再点検する。
附則
本書の施行日は2026年9月7日とする。鉄量と原料形態の解釈に関する資料は本協会の照会窓口で受け付ける。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の効果効能・安全性を保証するものではありません。
