冬虫夏草品質・表示基準
JHFC-S-069 制定:2026年9月9日
一般社団法人日本認定健康食品協会 制定基準(原文)
一般社団法人日本認定健康食品協会
制定:2026年9月9日 / 施行:同日
前文(制定の趣旨)
冬虫夏草の流通では、昆虫に生じた菌体を含む採取物と、培養槽で得た菌糸体又は培地上の子実体が同じ呼称で紹介されることがある。菌種と生産方法の情報が欠けると、昆虫や穀物等を含む重量を菌体のみの量と誤読しやすい。本基準は、自然採取物の構成と培養物の回収範囲を明示し、名称、組成及び原料重量を検証するために定める。
第1条(目的)
冬虫夏草として流通する原料を菌種と生産形態で識別し、原料を構成する菌体、寄主及び培養基材の取扱いを公開する。JHFC-A-001の五基準を前提とし、本書では菌の識別と構成重量に固有の確認項目を規定する。
第2条(適用範囲)
対象
食品用途を確認した冬虫夏草関連の採取物、培養菌糸体、子実体、その抽出物及び配合食品を扱う。Ophiocordyceps sinensisとCordyceps militaris等は別種として登録し、同じ原料の異なる等級と扱わない。[菌種別の識別研究](https://www.frontiersin.org/journals/microbiology/articles/10.3389/fmicb.2017.01179/full)を参照資料とする。菌種不明の培養物は対象原料へ登録しない。
第3条(用語の定義)
- 1. 寄主付き採取物:菌体と、その菌が生育した昆虫組織を含む回収物。
- 2. 培養回収範囲:菌糸体、培養液、子実体又は基材のうち製品へ移る部分。
- 3. 種菌由来票:保存菌株と製造用接種菌のつながりを示す履歴。
- 4. 構成別重量:菌由来部分と寄主・培養基材等を区別して把握する原料の量。
第4条(要求事項)
1. 品質要求:菌種と採取物の同一性
天然採取では採取場所、寄主の識別資料及び加工前の形態を記録する。培養では種菌由来票と同定結果を対応させる。遺伝学的方法は参照配列の出所、識別可能な種の範囲及び混合試料での限界を確認する。抽出後に識別が難しいものは加工前試料との製造連結で補い、通称のみの証明は採用しない。
2. 品質要求:培養・回収の製造管理
液体培養と固体培養を工程図で分け、培地の組成、接種、収穫及び菌体分離を記録する。穀物上の培養物は篩別や洗浄後に残る基材を調べる。自然採取物では土砂、付着物及び補修用異物の有無を観察する。事業者が回収範囲と異物の規格を設定し、工程写真と重量記録で根拠を示す。
3. 品質要求:純度と抽出物の規定
抽出溶媒、ろ過残さ、回収液及び添加担体の行先を明確にする。糖類や核酸関連成分を組成指標に採用する場合は、基材の寄与と後添加の有無を調べる。事業者が水分、夾雑物及び指標成分の規格を定める。コルジセピン等の検出を単独で菌種の証明に用いず、菌糸体含有培養物の全重量を純菌体量としない。
4. 検査:採取・培養別の第三者計画
第三者機関で原料形態に適した組成分析を行い、基材入り試料での回収率と妨害を点検する。自然採取物は元素や土砂由来の混入、培養物は雑菌と培地由来残留物を検査計画に反映する。項目と頻度の根拠を事業者が示し、機関名、分析法、検体の構成、ロット及び照会先を公開する。
5. 表示要求:菌種・生産形態・含量
採用学名と採取又は培養の別を示し、寄主付き、菌糸体、子実体等の構成を併記する。一日摂取目安量当たりの原料量に培養基材を含むかを明示する。抽出物実量と指標成分量は別欄とし、構成別重量を測れない場合は未分離原料の量と記す。野生由来の写真は実際の配合原料と照合する。
6. 品質要求:乾燥状態と保存表示
寄主付き乾燥物は内部の湿り、虫害及び折損、菌糸体粉末は吸湿と凝集を観察する。包装後の微生物状態と成分指標を追い、事業者が保存規格、包装仕様及び期限を設ける。防湿や開封後の扱いを表示し、基材入り原料の保存結果を分離菌体へ転用する場合は別に妥当性を確かめる。
7. 摂取上の注意
昆虫由来部分、培地の穀類及び残存する培養用原材料を点検し、必要なアレルギー情報を案内する。治療中・投薬中の者は医師に相談する旨を記す。相談資料には菌種と培養回収範囲を載せ、異常時の摂取中止を明記する。子実体の煎出用製品と菌糸体抽出粉末の使用案内を別々に確認する。
8. 資料管理
採取番号又は種菌由来票から、培養槽、回収物、抽出槽及び包装ロットを追える記録を残す。構成別重量の推定を用いた箇所と実測箇所を区分し、保管期間を事業者が定める。分類名の更新時は旧称と新称を対照し、単なる名称更新と種菌の交換を別案件として審査する。
第5条(評価区分)
- 適合:菌種、生産形態、回収範囲及び表示重量を含む全事項が立証される。
- 一部適合:同定と構成表示は確定し、資料の旧称索引等に限定した補完期限がある。
- 不適合:別種を同種扱いする、培養物を根拠なく天然採取とする、又は基材を含む量を純菌体量と表示する。
第6条(運用)
自己適合宣言で菌種と培養回収範囲を指定する。本協会は供給形態と表示写真も含めて確認する。寄主、種菌又は培地処方を変更した場合は再評価し、定期見直しにより構成別重量の説明を更新する。
附則
本書の施行日は2026年9月9日とする。菌の照会では流通名に加えて採用学名を用いる。
※本基準は情報公開・品質管理のあり方に関する評価基準であり、個別製品の品質・安全性を保証するものではありません。
